地震への備え
地震の基本知識
地震の備え、まずは・・・
平成17年に内閣府が行った調査によると、大地震に備えて取っている対策として最も多いのは、「携帯ラジオ・懐中電灯・医薬品などを準備しておく」で、約4割を占めています(図3)。
ただ、こうした備えはどれも、大地震が起こった後に“生き残ること”を前提とした準備です。
一方で、過去の大地震の死亡原因を見ると、阪神・淡路大震災の神戸市では、死因の多くが建物の倒壊による 「窒息・圧死」で、約8割を占めています(図4)。
また、新潟県中越沖地震でも、住宅の倒壊により下敷きとなった高齢者が多かったことや、火災の発生・延焼にも建物倒壊が影響することを考えると、図3で5.3%にとどまっている「耐震補強工事をしている」が、より重要な対策になってくるのではないでしょうか。
図3 大地震に備えてとっている対策(複数回答)

①携帯ラジオ、懐中電灯、医薬品などを準備している
② 近くの学校や公園など、避難する場所を決めている
③ 食糧や飲料水を準備している
④ 消火器や水をはったバケツを準備している
⑤ いつも風呂の水を溜め置きしている
⑥ 家具や冷蔵庫などを固定し、転倒を防止している
⑦ 貴重品などを、すぐに持ち出せるように準備してい
⑧ 家族との連絡方法などを決めている
⑨ 非常用持ち出し用衣類、毛布などを準備している
⑩ 防災訓練に積極的に参加している
⑪ 耐震補強工事をしている
⑫ ブロック塀を点検し、転倒を防止している
⑬ 耐震診断を行い、自分の家の危機度を把握している
⑭ その他
⑮ 特に何もしていない
⑯ わからない
図4 阪神・淡路大震災の犠牲者の死因(神戸市内)

防災グッズや備蓄も大切ですが、「命を守る」ための第一歩は、家が倒れないこと。
だからこそ、耐震診断・耐震補強の重要性が高まります。
地震はなぜ起こるの?地震のメカニズム
日本は、世界で見ても地震がとても多い国です。
世界の地震のうち、約2割が日本周辺で起きているとも言われています。
その理由の一つが、日本列島のまわりに**4つのプレート(板状の堅い地殻)**が集まっていること。
それぞれのプレートは、方向も違えば、1年に数センチメートルの速度で少しずつ移動しています。
そして、プレートの境目で起こる運動が地震の大きな原因になります。
日本で起こる地震は、主に次の2種類に分けて考えると分かりやすいです。
海溝型地震
海溝型地震は、海洋側のプレートが大陸側のプレートの下へもぐり込むことで起こります。
大陸側のプレートが引きずり込まれるようにして境目にひずみがたまり、限界に達すると一気に戻ろうとして跳ね上がり、大きな地震が発生します。
このタイプの地震は、中央防災会議などでも、今後100年か200年先に発生する可能性が高いとされています。(※発生確率や期間は想定ごとに見直されるため、最新情報の確認が必要です)

直下型地震(活断層による地震)
陸地の地殻もプレートの運動の影響を受け、さまざまな場所に「ずれ」が生じます。
この「ずれ」のうち、将来動く可能性があるものが 「活断層」と呼ばれ、活断層のずれが一気に動くことで地震が起こります。
直下型地震は、海溝型地震に比べて規模が小さい場合もありますが、地表に近い場所で起こるため、強い揺れになりやすいのが特徴です。
被害範囲は想定として20km〜30km程度と言われることもありますが、条件によって変わります。
また、直下で発生するため前触れがほとんどなく、いきなり大きな揺れが来ることがあります。
阪神・淡路大震災は、このタイプの地震でした。

津波の発生するしくみ
津波とは、海底で起きた地震などの影響で、海水が大きく動き、海水が陸地に押し寄せる現象のことです。
気象庁が発表する「津波の高さ」は、海岸付近で 海面がどれくらい上がるかを表したものです。
ただし津波の高さは、海岸や湾の地形によって増幅され、予想より大きくなることがあります。
場所によっては、想定を上回る高さになるケースもあるため、注意が必要です。

地震の揺れと想定される被害
“地震の揺れと想定される被害“ 気象庁震度階級表により作成
| 震度 | 説明 | 加速度 ガル(gal) |
| 震度0 | 人は揺れを感じない。 | 0~0.8 |
| 震度1 | 屋内にいる人の一部がわずかな揺れを感じる。 | 0.8~2.5 |
| 震度2 | 屋内にいる多くの人が揺れを感じる。 吊り下がっている電灯などがわずかに揺れる。 | 2.5~8 |
| 震度3 | 屋内にいるほとんどの人が揺れを感じ、棚の食器が音を立てることがある。 | 8~25 |
| 震度4 | かなりの恐怖感があり、吊り下げ物は大きく揺れ、棚にある食器類は音をたてて、座りの悪い置物が倒れることがある | 25~80 |
| 震度5(弱) | 多くの人が、身の安全を図ろうとする。座りの悪い置物の多くが倒れ、窓ガラスが割れて落ちることがある | 80~250 |
| 震度5(強) | 非常な恐怖を感じる。テレビが台から落ちることがあり、家具が倒れることがある。補強されていないブロック塀の多くが崩れ、一部の自動販売機が倒れることがある。 | 80~250 |
| 震度6(弱) | かなりの建物で、壁のタイルや窓ガラスが破損落下する。耐震性の低い木造建物では倒壊するものもあり、耐震性の低い鉄筋コンクリート造建物でも壁や柱が破損する。 | 250~400 |
| 震度6(強) | 固定のない家具のほとんどが移動、転倒する。多くの建物で、壁のタイルや窓ガラスが破損、落下する。耐震性の低い鉄筋コンクリート造建物では倒壊するものがある。 | 250~400 |
| 震度7 | ほとんどの家具が大きく移動したり、転倒する。耐震性の高い建物でも、傾いたり、大きく破損するものがある。広い地域で電気、ガス、水道の供給が停止する。 | 400以上 |
マグニチュード・震度・加速度
マグニチュード(М)=「地震そのものの大きさ」
マグニチュードは、地震が持つ エネルギーの大きさを表します。
これは1つの地震につき1つしか決まりません(場所によって変わりません)。
・ Мが1大きくなると、揺れの最大振幅は約10倍
・ 地震のエネルギーは約30倍
・・・と言われています。
震度 = 「その場所の揺れの強さ」
震度は、ある場所でどれくらい揺れたかを示す指標です。
同じ地震でも、場所によって震度は変わります。
震度が変わる主な理由は、たとえばこんなものです。
・ 地盤(柔らかい・硬い)
・ 震源からの距離
・ 建物の構造や階数
・ 周囲の地形 など
日本では気象庁の震度階級(0〜7)が使われています。
加速度(ガル:gal)= 「揺れを数値で表したもの」
震度は段階(0〜7)なので、最近は揺れをより客観的に見るために、加速度(ガル)という数値も使われます。
・ 1ガル(gal)= 毎秒1cmずつ加速するという意味です
阪神・淡路大震災で観測された加速度は「818ガル」、2003年7月に発生した宮城県北部地震では「2037ガル」が観測されています。
マグニチュードと震度の関係
・ マグニチュードが大きくても、震源が遠いと震度は小さくなることがあります。
・ マグニチュードが小さくても、震源が近いと震度が大きくなることがあります。
つまり、
M=地震の大きさ(共通)
震度=あなたの場所の揺れ(場所で変わる)
と覚えると分かりやすいです。
大地震による被害と特徴
阪神・淡路大地震による被害
1995年1月17日 午前5時46分に発生した「阪神・淡路大震災」では、6,433名もの尊い命が奪われ、その8割に当たる約5,000名は、住宅の倒壊などによる「圧迫(圧死・窒息)」だったと報告されています。
木造住宅では、1階が押しつぶされて2階が落ちてくる倒壊パターンが多く見られました。
倒壊に至るまでの時間も約3〜4秒と、とても短かったと言われています。
なぜ、多くの木造住宅が倒壊したのでしょうか?
原因の一つとして、柱が土台から引き抜かれる 「柱の引抜き」が挙げられます。
直下型地震では、まず強い縦揺れで建物が押し上げられ、次に強い横揺れで建物全体に大きな力がかかります。
・ 筋交いが少なかった家は、建物自体が弱く、揺れに耐えきれずに1階・2階ともに崩れたケースが多く見られました。
・ 逆に筋交いを多く入れていた家でも、筋交いが“つっかえ棒”のように働き、柱にかかる引抜き力が強くなることがあります。
その結果、1階だけが潰れ、2階が落ちてくる倒壊が目立つことにつながりました。
揺れていた時間は、わずか22秒間。
だからこそ、「揺れてから考える」では間に合いません。備えの大切さが分かります。
筋交いの少なかったお家

筋交いを多用したお家

阪神・淡路大震災による被害状況(平成18年5月19日消防庁発表)


大地震が起こる確率
「自分が生きている間に、住んでいる地域で大きな地震が起こる確率はどのくらいなのか?」
そして「その対策として、まず何をすべきなのか?」
気になりますよね。
以下のデータを見ると、大規模な地震が起こる確率は決して低くありません。
2011年〜2020年の間に、世界で発生したマグニチュード6.0以上の地震のうち、約2割が日本周辺で起きています(図1)。
また、日本では震度1以上の地震が年に多数発生していると言われており、文部科学省の地震調査研究機関である地震調査研究推進本部・地震調査委員会では、今後30年以内に震度6弱以上の揺れに見舞われる確率を、地域ごとに公表しています(図2)。
【図1】 マグニチュード6.0以上の地震回数

【図2】 今後30年以内に「震度6弱以上」の揺れに見舞われる確率が高い上位5都市(2020年度版)
| 水戸 | 81% |
| 根室 | 80% |
| 高知 | 75% |
| 徳島 | 75% |
| 静岡 | 70% |
出典:従来の方法による全国地震動予測地図 2020年度版(参考資料)
