耐震コラム

” ほぞ抜け ” 木造住宅 倒壊のメカニズム

大地震の際、人命を奪ってしまう家屋の「倒壊」

我が家の下敷きになってしまうこと、など考えたくありませんが、あの阪神淡路大震災ではその地震直接が原因で命を奪われた、80%が家屋の「倒壊」による圧死だったと報告されています。

では、その「倒壊」とはどうやって起きるか。

平成12年5月以前に建築された家屋はどうして「倒壊」の可能性が高いのか。

「倒壊」を防ぐ方法についてお話します。

ほぞ抜けとは

右の画像をご覧ください。

実は、この画像が家屋の「倒壊」を招く原因です。

倒壊の引き金とも言える ”ほぞ抜け” が起きてしまった家屋の画像です。

在来工法の木造家屋の柱頭・柱脚(柱の上下部)は「ほぞ」という、柱側(凸)と土台桁側(凹)とで組み合わされています。

大地震時、大きな横揺れによって、この「ほぞ」を抜くような、柱を上に引っ張る力「引抜力」が発生します。

柱と土台との緊結が弱いと柱(凸)が土台(凹)から抜けてしまい、元に戻らなくなり安定性を失います。

さらに横揺れで足元をすくわれる状態となり、同時に上部の重さ(2階や屋根の重さ)に耐えられず柱が横に倒れてしまいます。

つぶされてしまうと言ったほうがいいかもしれません。

平成12年5月以前に建てられた木造家屋は注意

平成12年5月以前に建てられた木造家屋においては、「ほぞ」はあるものの、柱と土台、柱と桁(横架材)との緊結が、大地震に対してはまだまだ弱く ”ほぞ抜け” が生じる可能性が否めません。(築年数が古いほど、その可能性は高くなります)

そこで平成12年6月建築基準法の改定に伴い、耐震基準も見直しが行われました。

新・新耐震基準(現行の耐震基準)です。

それ以前に建築された木造家屋の弱点である接合部のー緊結の弱さーを改め、”ほぞ抜け”が起こらないよう接合部に「引抜力」に見合う金物を設置するなど、強化されることになりました。

ホールダウン金物でほぞ抜けを防ぐ

柱に取り付けてあるのが「ほぞ抜け防止金物(ホールダウン金物)」です。

現在、建築されている新築住宅はこの新・新耐震基準を満たし、震度6強クラスの地震が起こっても、ほぞ抜け→倒壊とはなりません。

同様に平成12年6月以前に建築された住宅であっても、耐震補強、耐震改修を行い、新・新耐震基準を満たすことで、「一応倒壊しない」「倒壊しない」レベルに耐震性を引き上げることが可能です。

新・新耐震基準を満たすことにはなりませんが、減災という考えから、ほぞ抜け→倒壊という可能性をできる限り低くすることはできます。

外付け(後付け)「ほぞ抜け防止金物(ホールダウン金物)」を建物の4隅(建物の形状などによって変わる場合もあります)に設置することも有効です。

外付け(後付け)「ほぞ抜け防止金物(ホールダウン金物)」どちらの場合も、相手が自然災害ゆえ(新築住宅でさえ)絶対倒壊しないと断言することはできませんが、その可能性を低くするという意味で耐震補強、耐震改修を行い、新・新耐震基準を満たしてほしい。

せめて「ほぞ抜け防止金物(ホールダウン金物)」を設置して、ほぞ抜け→倒壊という流れを作らないようにすることをおすすめいたします。

凶器と化した我が家は見たくも考えたくもありません。

”命を守る” これが最優先です。

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