耐震コラム

木造住宅が揺れやすい原因とは?その理由を解説

「地震が起きていないのに、家が揺れている気がする」
木造住宅にお住まいの方の中には、このような違和感を覚えたことがある方も少なくないのではないでしょうか。
大型トラックが通過したときや、強風の日など、日常生活の中で感じるわずかな揺れに不安を抱くこともあるかもしれません。
実は、木造住宅が揺れを感じやすいのには、構造上の理由があります。
それは必ずしも「欠陥」や「危険」を意味するものではなく、むしろ地震のエネルギーを受け流すための特性として設計されている場合もあります。
一方で、建物の構造や老朽化の状態によっては、注意が必要なケースがあるのも事実です。
この記事では、木造住宅が揺れやすいと感じる理由を整理しながら、日常的な揺れと注意すべき揺れの違い、揺れを引き起こす主な原因について分かりやすく解説します。
住まいの安全性を正しく理解し、安心して暮らすための判断材料として、ぜひ参考にしてください。

木造住宅が揺れやすい理由

適度に揺れを吸収する設計

木造住宅は、地震のような大きな外力が加わった際に、単に揺れを無理に抑え込むのではなく、木材や構造全体のしなやかさを活かし、適度な揺れを吸収しながらエネルギーを分散させるように設計されています。
この「揺れをいなす」特性は、建物の構造躯体にダメージが集中するのを防ぎ、建物の耐久性を高める上で重要な役割を果たしています。
日本の伝統的な木造建築に見られるように、木材の弾力性などが地震エネルギーを吸収・減衰させる仕組みに利用されています。
現代の木造住宅でも、構造計算や部材選定などを通じて、地震エネルギーを効果的に逃がし、倒壊リスクを低減する工夫が凝らされています。
建物を固定するだけでなく、揺れを受け流す柔軟性を持たせることが、木造住宅の安全性を高める鍵となります。

日常的な揺れは構造上の問題ではない

日常生活の中で家が揺れると感じる場面は少なくありません。
例えば、道路を大型トラックが通過する際の振動、近隣で行われる建設工事による地盤の揺れ、あるいは強風などが挙げられます。
しかし、これらの原因による揺れの多くは、適切に設計・施工された木造住宅であれば、建物の構造自体に直接的な危険をもたらすものではなく、一般的に「許容範囲内」とされるレベルです。
許容範囲内とは、人が揺れを感じ取ることはできても、室内の家具が大きく動いたり、棚から物が落ちたり、建物に目に見える損傷が生じたりするような危険な状態には至らない程度の揺れを指します。
これは、建物の基礎や構造体が、これらの比較的軽微な振動エネルギーを効果的に吸収・減衰させ、建物全体に伝わる揺れを最小限に抑えるように作られているためです。
立地条件によっては外部からの振動の影響を受けやすい場合もありますが、構造上の問題がない限り、直ちに建物の安全性に関わる事態とは考えにくいのです。

木造住宅の揺れを引き起こす原因

外部からの振動や風の影響

地震という大きな揺れ以外で、木造住宅が振動を感じる主な原因は、外部からの様々な影響によるものです。
交通振動が挙げられます。
住宅街を頻繁に通る大型トラックやバス、あるいは鉄道の近くに建つ住宅では、これらの車両や列車の走行によって発生する地面の振動が、建物へと伝わり、室内で揺れとして感じられることがあります。
また、近隣で大規模な建築工事や道路工事が行われている場合も、重機による振動や地面への衝撃が原因で、家が揺れているように感じることがあります。
これらの振動は、地面を伝わり、建物の基礎を通じて構造躯体へと到達します。
さらに、風の影響も無視できません。
特に強風が吹く日には、建物全体が風圧を受けて揺れたり、窓ガラスが風で振動して音と共に揺れを感じたりすることがあります。
建物の形状や周囲の環境も、風による揺れの感じやすさに影響します。
これらの外部からの振動や風による揺れは、建物の構造自体の問題ではなく、あくまで外部要因による一時的なものです。

建物の構造や老朽化による問題

一方で、木造住宅の揺れは、建物の構造自体に潜在する問題や、経年劣化によって引き起こされることもあります。
構造上の問題としては、設計基準を満たしていない、あるいは施工時に不備があったケースが考えられます。
例えば、耐震性を確保するための接合部に十分な強度の金物が使用されていなかったり、構造計算が不正確であったりすると、地震時だけでなく、ある程度の強さの振動でも揺れが増幅される可能性があります。
また、建物を支える地盤が弱い場合、外部からの振動や地震の揺れを吸収しきれずに増幅させてしまうことがあります。
軟弱な地盤の上に建てられた建物では、特に揺れを感じやすくなります。
さらに、建物の老朽化も揺れの原因となります。
木材が長年の湿気や雨漏りなどによって腐食したり、シロアリの被害を受けて強度が著しく低下したりすると、柱や梁といった主要な構造部材が本来の強度を失い、わずかな振動でもぐらつきを感じやすくなります。
柱と梁、壁などの接合部が緩んだり破損したりすることも、建物の剛性を低下させ、揺れを引き起こす要因となります。
築年数が経過した住宅では、これらの構造的な問題や劣化が進んでいる可能性を考慮する必要があります。

まとめ

木造住宅が、地震が発生していないにも関わらず揺れを感じる場合、その原因は様々ですが、多くは建物の設計特性や、大型トラックの通行、近隣の工事、強風といった外部からの影響によるものであることが一般的です。
これらの揺れは、建物の構造的な欠陥を直接示すものではないことがほとんどです。
しかしながら、建物の基礎や構造躯体に設計上の問題があったり、施工に不備があったりする場合、あるいは木材の腐食やシロアリの被害、接合部の破損といった老朽化が進行している場合に、揺れが発生・増幅している可能性も否定できません。
特に、以前よりも揺れを頻繁に感じるようになった、あるいは揺れの大きさが明らかに増したと感じられる場合は、注意が必要です。
このような状況に該当する場合は、建物の安全性に問題がないか、信頼できる専門家、例えば建築士や住宅診断の専門業者に依頼して、耐震診断や劣化状況の診断を受けることを強く推奨します。
専門家による詳細な調査と評価を受けることで、建物の現状を正確に把握し、必要であれば適切な補修やメンテナンスを行うことができます。
これにより、住まいの安全性を改めて確認し、ご家族が安心して快適な生活を送ることができるようになります。
日頃からの小さな変化にも気を配り、必要に応じて専門家の知見を借りることが、長期的に安全で快適な住まいを維持するための賢明な選択と言えるでしょう。

投稿者プロフィール

鈴木 芳邦
「鈴木住研」では、これまでに400棟以上の木造住宅の耐震診断を行ってきました。
経験豊富な東京都登録の耐震診断技術者(建築士)が責任を持って耐震診断を行なっております。
また、創業より60余年木造住宅を造り続けてきた工務店の高い技術力・施工力で、精度の高い補強工事も行なっております。
社員や協力会社と共に、お客様のご家族と住まいを長期にわたり見守り続けます。ぜひ安心して相談ください。

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